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“世論”の消失

世論とは、「世間の大多数の人の意見・世間の大勢を制している意見」という意味の言葉。最近はあまり使われなくなったというより、“世論”というものがなくなりつつある。

なぜなくなったのか、その理由は様々なものがあるだろうが30年前の大学の授業の中ではわかりやすい説明として次のように述べられていた。

情報化革命によって、人々が日々出会う情報量が大幅に増える。例えるならば4〜5局しかないテレビ局が100局まで増えたようなもの。そうなると、ニュースばかりを見ている人、スポーツばかりを見ている人、ドラマばかりを見ている人というように情報の偏食が起こる。世間が形成されるには多くの人が同じ情報を共有している必要があるが、今後はそれが難しくなる。

ところで世論が存在した時代は、世論を判断基準として意思決定をしていればよかった。つまり世論がなくなるということは判断基準がなくなるということでもある。当初は、宗教やお金、民族、人種といった外部に存在する別の判断基準となり得るものにすがることでアイデンティティーを保つということが社会に混乱を起こすだろうが、最終的には自分の中にある価値観を判断基準にするようになるだろうというのが、大学の授業での見解であった。この約30年で起きた大きな事件を振り返ると概ねこの見解は正しかったのではないかと考える。

最近LGBTの方を侮蔑するような記事が問題になったりした。意見そのものは全く同意できないが、このような意見が出てくるということは人々が自分の価値観を基に判断をし始めているということを表していると考える。またネットでの攻撃的な発言は、自分が正しいことを言っているということを周りに認めさせる行為に私には見えている。自分の中の価値観に従って発言はしているが、まだ確固たる自信がないので、周りに認めさせることでアイデンティティーを保とうとしているように見える。過渡期の最終段階と言えるのではないだろうか?まだ世論という正しい答えが世の中に存在しているという幻想があるようである。お互いが違った価値観を持っているということを前提にコミュニケーションが進むようになった時、この過渡期は終了するのであろう。

さて、事業承継をテーマに窓口相談や企業訪問をしている。事業承継に前向きでない理由の中に、将来展望の不安がある。昔は大きな流れというものがあり将来のことが予想できたが、今は将来がどうなるのか全くわからない。さらに業績はジリ貧なので、このまま承継してまで事業を続けていくことに大きな不安があるというもの。

世論というものがなくなるということは、世の中の大きな流れがなくなることでもある。人々が自分の中の価値観に従って行動を始めており、今後必要なのは、価値観に訴える行為。小さいながら自社が生き残れるだけの流れを自ら作り上げることがとても重要になってくる。

なので、事業承継そのものがテーマであることよりも、実際には展示会出展や今後の営業方針、販路開拓の仕方といった自ら流れを作るにはどうのようにしていったら良いのかということのように、関連するといえば関連すると言えるテーマであることの方が多い。まぁ一番多いのは後継者をどう育てるかであるが・・・。

(2018年11月29日投稿コラム再掲)

  

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