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強み・弱みという客観的事実はない

「強み」という言葉を辞書で調べると

 ①強いこと。また強さの程度。

 ②頼りになる点。(ベネッセ表現読解国語辞典より)

とある。”我が社の強みは、技術力だ”という発言などで使われることから、「競争に勝てる特徴」という意味で使われているのかもしれない。

ところで、槍という武器がある。長い棒の先に刃物がついたあの武器である。槍というと突くことで相手を倒すというイメージが強かったが、時代考証モノのテレビ番組を見ると、戦国時代では大きく振りかぶって相手を叩き潰すという使い方をしていたようである。

突くにしろ、振りかぶって叩き潰すにしろ、自由自在に振り回すことができる広い場所で戦う時はその長さが有利となる。つまり長さは「強み」として働いていることになる。

しかし、屋内の廊下など狭い場所では、振り回そうとしてもあちこちにぶつかってしまう。つまり、狭いところでは長さは「弱み」として働いていることになる。

そう、ある特徴が「強み」として働くか、「弱み」として働くかは、それが置かれている外部環境によって変わってしまう。

また、槍の長さが強みとなるのは、槍よりも間合いが短い刀である場合である。相手の武器が鉄砲や弓の場合、槍の長さは無意味である。つまり、何と比較するかによっても「強み」「弱み」は変わってくる。

つまり、「強み」「弱み」という絶対的な特徴は存在しない。

少し前は”情報化革命”、今は”IOT革命”が進んでいると言われている。「革命」とはガラガラポンと社会のルールが根底から覆すこと。外部環境の変化によって、今、御社を支えている「強み」は革命後では「弱み」に変わってしまうかもしれない。

“当社は、この品質をこの価格で製造できるから強いんだ”とはある社長の発言。たしかに素晴らしいことだと思う。だが、

そのセリフをあと何年言い続けることができるのか?

「強み」「弱み」という客観的事実は存在しない。あるのは、ある環境下である競合に対して有利に働いている特徴があるだけである。環境や相手が変われば、「強み」が「弱み」に「弱み」が「強み」に変わってしまうことをゆめゆめ忘れてはいけない。

  

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