コンセプト

ネットや国語辞典を調べると、“全体を貫く基本的な概念”・“考え方の軸”・“基礎となっている「考え方」”・“企画の枠組み、骨組み”・” それが何者かを定義したもの“など様々な定義が記載されているが、今一つピンとこないというか、腑に落ちない。私自身は次のようにこの言葉を解釈している。

「仏作って魂入れず」ということわざがある。せっかく仏像を制作しても、その仏に魂を入れなくては、ただの木や土や石にすぎない。もっともだいじなことを、おろそかにすることをいう意味である。

コンセプトは動詞conceiveの名詞形で、語源はcon(完全に)+ceive((体内に)取り入れる)である。コンセプトとは、このことわざで言う「魂」に当たる言葉なのだと考えている。まさに“正”なのか“邪”なのか、優れた存在なのか、そうでないのかは、吹き込まれた「魂(いのち)」次第である。

コンセプトは企画であれ製品であれ、その存在のあり方を決めるモノである。

ちなみに、このコンセプトはミッションやテーマという言葉とよく混同される。どの言葉も存在の根本を決める重要な概念であるが、ミッションやテーマが“自分で思うこと”なのに対し、コンセプトは“他人に認めさせること”に違いがある。自分で自分のことを“優しい人間”だと思っていても、周りの人が“怖い人”と思っていれば、その人は“怖い人”である。また、作られた仏に魂が籠っているかどうかを決めるのも作られた仏ではなく、それを見た我々である。

「私らしさ」には自分自身が思う“本当の私”と社会に関わる中で作り上げる“役割としての私”の二つがある。私たちは社会の中で様々な役割を生きている。会社の中では上司・部下という役割を振る舞い、家に帰れば夫・妻として振る舞い、子供の前では父親・母親として振る舞う。従って、本当の私らしさとは別に、相手との人間関係の中での振る舞い方も決めていかなければならない。

コンセプトとは、社会の中で、その存在のあり方を決めるモノである。

従ってコンセプトの5つの条件は次のとおりになる。

1.商品・サービスの受け手が誰か、具体的に見える

2.受け手にとっての実用的・感情的価値をガイドする

3.ビジネス活動上の、思考や行動そして領域の具体的指針となる

4.作り手から受け手まで、すべてのビジネス展開に一貫性と整合性を生み出す

5.結果として、戦略的差別化が図れている

関連:ミッション

 

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