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組織が硬直化する根本的な理由

一生懸命(狭義の)コミュニケーションをとろうとするから、かえって組織は硬直化し、従業員との関係がうまくいかなくなるのです。

コミュニケーションと一言で言っても、実は2つのルールがあります。仲間内の会話(=狭義の「コミュニケーション」)と、外の人との会話(「インターコース」:異文化コニュニケーション」)の2種類です。

言葉の定義

狭義の「コミュニケーション」とは

コミュニケーション(communication)という言葉は、元々は共有する・分け与えるという意味のラテン語communisから生まれた言葉で、同源の言葉にコミュニティ(community:共同体)・コモン(common:普通の、共通の)・コミューン(commune:精神的に親しく交わる・共産主義的共同体)などがある。語源からもわかるように情報の共有化・共感を進める会話ということができる。

インターコース(=異文化コミュニケーション)

もう一つの言葉であるインターコース(intercourse:交流する・交易する)について。アメリカ英語が19世紀半ばに性交・性交渉という意味に変わったので専門用語としては現在あまり使われなくなった言葉であるが、元々の意味は、異なったものが異なったまま交わるという概念を表していた。ここでは自分とは違った存在との相互理解を深めるための会話という意味で使っている。

「コミュニケーション」が組織を硬直化させる

さてここからが本題。上の図は、次のように書き換えることができます。

つまり、従業員は同じ会社の仲間であると同時に、立場の違いや人生観・価値観の違いによって違った存在であるということです。

日本の企業では昔々から、社員旅行・忘年会を始め各種飲み会・社内運動会など仲間意識を醸成することを重要視してきました。組織である以上仲間意識の醸成すことはとても大事な行為だということができますが、行き過ぎると次のような弊害が起こります。

  • 情報の共有化が進めば、全員が同じ情報を同じように持つので、コミュニケーションの量はかえって減る。
  • より多くの情報を提供する者と、そうでないものに別れることが多い。そうすると情報を提供する者が集団の中で上位の存在として見なされるようになるので、いつの間にか上下関係ができ、集団内での独自のルールができるようになる。そのため、強固な関係が構築されるとも言えるが、同時に、排他的で硬直化した関係になってしまうことが多い。
  • 情報の共有化は同化(同一化)につながるので効率化を推し進め生産性を高める。しかし、同じ視点で同じような発想の人ばかりになるということでもあり、多様性が失われ環境の変化に弱い集団になってしまう。
  • そして同化(同一化)するということ、相手の個性・アイデンティティを否定する行為である。

かつての日本人は世間・世論を重要視していたので同じような価値観を持っていました。そのため仲間意識を高めるということは強固な関係を築くことにつながり高い動機付けになっていました。

しかし、今は分断社会と表現されたりするように、一人一人が自分の価値観を大事にしています。そのため、仲間意識の醸成(=同化)はかえって強いストレスになってしまっています。

外国人従業員とのコミュニケーションをどうするのかという問題が今後増えていくと思われますが、それ以前に同じ日本人だとしても、相手(従業員)は自分(社長)とは異なった存在であることを認識しなければなりません。

今後コミュニケーションを活発化し組織の活性化を図っていくには、従来のコミュニケーションに加え、異文化コミュニケーションをどう取り入れていくかということが大事なことになってくるでしょう。

補足

ある人材派遣会社が調査をしたところ、再雇用の際、コミュニケーション能力の低さが中年男性の商品価値を下げているとのこと。大手企業であればある程度他の部署や転勤があり、今は女性や外国人の同僚がいるので、“異なった“人との会話を行う機会が多いといえます。しかし中小企業の場合、限られた人間関係の(しかも男性しかいない)職場で何十年と過ごすことになりますので、彼らのコミュニケーション能力は育てる機会がなかったと言えます。このことがじつは、硬直した組織や従業員が居付かない隠れた原因となっているのだと考えています。

  

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