今後ますますデザイン経営は大事になってくる

2018年に経済産業省・特許庁が出した「デザイン経営」宣言。「デザインの力をブランドの構築やイノベーションの創出に活用する経営手法です。」というその説明について、当時”デザイン”という言葉が一人歩きしてしまったことから、デザイナーがはいって、なんかカッコいい・スタイリッシュなデザインの製品を作ることと勘違いされる方も多かった(そういう主旨のセミナーがあったよう)。
”デザイン”という言葉の意味は『作ろうとするものの形態(※)について、機能や生産工程などを考えて構想すること』(大辞林)である。また『目的設定・計画策定・仕様表現からなる一連のプロセスである』(ウィキペディア)でもある。単に「かたち作る」という意味だけではなく、「仕組みをつくる」という意味も持つ言葉でもあるので、”社会問題の解決方法をデザインする”と表現されたりする言葉である。
※形態:物のかたち。また、組織的に組み立てられたものの、外に表れているかたち。ありさま。(大辞林)
「デザイン経営」宣言でいう”デザイン”の意味は下記の通りである。
『一方、日本では経営者がデザインを有効な 経営手段と認識しておらず、グローバル競争環境での弱みとなっている。
デザインは、企業が大切にしている価値、それを実現しようとする意志を 表現する営みである。それは、個々の製品の外見を好感度の高いものにする だけではない。顧客が企業と接点を持つあらゆる体験に、その価値や意志を 徹底させ、それが一貫したメッセージとして伝わることで、他の企業では代 替できないと顧客が思うブランド価値が生まれる。さらに、デザインは、イ ノベーションを実現する力になる。なぜか。デザインは、人々が気づかない ニーズを掘り起こし、事業にしていく営みでもあるからだ。供給側の思い込 みを排除し、対象に影響を与えないように観察する。そうして気づいた潜在 的なニーズを、企業の価値と意志に照らし合わせる。誰のために何をしたい のかという原点に立ち返ることで、既存の事業に縛られずに、事業化を構想 できる。』
(「デザイン経営」宣言 経済産業省・特許庁 産業競争力とデザインを考える研究会 2018年5月23日 )
ますます重要になってくる
賃金アップがテレビでよく取り上げ荒れている(2023年1月 現在)。
売上は利益(会社の取り分)、人件費(従業員の取り分)、諸経費(取引先への支払い)と分解できるので、単純に考えると賃金アップは人件費(従業員の取り分)の増加であり、利益(会社の取り分)、諸経費(取引先の取り分)を圧迫する行為である。
今後ますます単価削減で売上が下がり(大手企業従業員の給料があがるということは取引先への支払額が圧迫されるということ)、原価高騰で取引先への支払額が増え、人手不足から賃金アップを求められる(2020年から労働力人口は減少している)という三重苦は酷くなる一方である。
生き残るためには、会社のあり方を変える・新たな収益を作る・働き方改革が必要である。”変える”・”作る”・”改革”これらの言葉を一つの言葉で表すのなら、「リ・デザイン(かたち・仕組みを作り直す)」である。
デザイン経営に対するこれまでの私の取り組みについて
2009年通信制大学ではあるが建築デザイン学科に在籍した。2008年から国の販路開拓コーディネート事業に関わるようになり、デザインシンキング(デザイン経営のベースとなる考え方)の重要性を認識したからである。
当時から”自社で価格が決められる製品(自社製品)”が今後中小企業が生き残る上で重要であると考えられていた。ただし、多くの中小企業様はモノづくりのノウハウはあってもモノを売るノウハウはない状態であった。販路開拓コーディネート事業は新製品を開発した企業に対しテストマーケティングを通じてモノを売るノウハウの獲得ができるようにするための支援である。
今と違って当時は一人の専門家がその企業様のマーケティング企画やプレゼン資料のブラッシュアップやテストマーケティング時のサポートまで一貫して行っていた。マーケティングとは”売れる仕組みをデザインすること”であり、場合によってはビジネスモデルの修正、企業コンセプトへの助言まで行う必要がありデザインシンキングができないと効果的に支援はできない。
その後事業承継や創業の支援に携わっているが、事業承継でいう”会社の磨き上げ”は、収益モデルの改善や組織改革といった会社そのもののリ・デザインを支援することであり、創業は新しく会社をデザインすることを支援することである。
ちなみに本来の専門分野である「売れるお店づくり」もストアコンセプトの再設定であったり、店舗レイアウトや販促物の改善だったりとリ・デザインに関する支援だったりする。
なお、このホームページも名刺もすべて自分でデザインしている。
これまでは表立って言ってこなかったけれど、これまで主にリ・デザインについての支援に携わってきたといえる。これからは”デザイン経営の専門家です”と名乗ったらお客さんバンバンこないかな、とヨコシマなことを考えながらこの記事を書いている。(⌒-⌒; )
今井 彰.(→プロフィール)
Con(共に)+Sult(座る)+Ant(者)・中小企業診断士・ビジネスコーチ
1968年生。同志社大学商学部卒。得意分野は売上向上策と人を育てる技術(相手を買う気・やる気にさせる仕掛けづくり)。 将来起業することを目指し大手流通業に就職。店長として店舗レイアウトや店内販促物の作成、コーチングを使ったスタッフ教育で評価を得ていた。 ビジネスコーチ・流通系コンサルタントとして独立。小売店や飲食店の売上向上策について支援を行う。一方公的支援機関にて販路開拓や創業・事業承継の支援に携わる。なお、コンテンツには個人的な見解や意見が入っています。あくまで参考としてお読みください。
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